強迫症とは?

強迫症(強迫性障害・OCD)は、自分ではやめたいのに「どうしてもやめられない考え」(強迫観念)や「どうしてもやめられない行動」(強迫行為)が繰り返し起こる病気です。
自分でも「おかしいな」「必要ないな」と思いながらも、不安や緊張を減らすためにやめられなくなってしまいます。

強迫観念ってどんなもの?

強迫観念とは、頭の中に勝手に浮かんできて、なかなか消えない考えやイメージのことです。

例えば:

  • 「手が汚れている」「細菌がついている」という考え
  • 「ガスの元栓を閉め忘れた」「戸締りができていない」という心配
  • 「大切な人に何か悪いことが起きるかもしれない」という不安
  • 「自分が誰かを傷つけてしまうかも」という恐怖
  • 「きちんと並んでいない」「左右対称になっていない」という違和感
  • 自分の意思に反して浮かぶ不適切な考えやイメージ(暴力的、性的なものなど)

強迫行為ってどんなもの?

強迫行為とは、強迫観念による不安を和らげるために繰り返し行う行動のことです。

例えば:

  • 手を何度も洗う、長時間洗う
  • 何度も確認する(ドアの鍵、ガスの元栓、電気のスイッチなど)
  • 特定の回数だけ行動を繰り返す(3回、7回など)
  • 物を特定の順序や方法で並べる、整える
  • 特定の言葉や数字を心の中で繰り返す
  • ある考えを打ち消すために「大丈夫」と何度も自分に言い聞かせる
  • 特定のルールややり方に従わないと気が済まない

こんな経験はありませんか?

日常生活の中で、こんな経験はありませんか?

  • トイレに行くたびに手を洗うけど、「まだ汚い気がする」と何度も洗ってしまう
  • 学校から帰るとき、教科書を忘れていないか何度もカバンを確認してしまう
  • 「変な考えが浮かんだら不幸になる」と思い、特定の考えを打ち消そうとする
  • ノートの字が気に入らないと、何度も書き直してしまう
  • 「左足で踏んだら右足でも踏まないと気が済まない」と感じる
  • 特定の数字や言葉が「縁起が悪い」と感じて避けてしまう
  • 物を捨てられず、いらないものまで取っておいてしまう

強迫症の特徴

強迫症の大きな特徴は:

  1. 自分でもおかしいと分かっている:「必要ないとわかっているのに、やめられない」という感覚がある
  2. 不安を減らすための行動:強迫行為をすると一時的に不安が減るが、すぐにまた不安が戻ってくる
  3. 時間がかかる:強迫行為に1日1時間以上費やしてしまう
  4. 日常生活への影響:学校や職場の対人関係、家族との時間などに支障が出る

強迫症が与える影響

強迫症があると、次のような影響があることがあります:

  • 学校や職場に遅刻してしまう(確認や洗浄に時間がかかるため)
  • 宿題や課題が終わらない(完璧にしようとして時間がかかる)
  • 友人と過ごす時間が減る(強迫行為に時間を取られる)
  • 家族と衝突する(「早くして」と言われても急げない)
  • 疲れやすくなる(常に緊張状態にあるため)
  • 自分に自信が持てなくなる(「自分はおかしい」と思ってしまう)

知っておいてほしいこと

  • 強迫症は決して珍しい病気ではありません。100人に2~3人が経験するといわれています。
  • 「わがまま」や「性格」の問題ではなく、脳の働き方に関係する病気です。
  • 10代の頃に症状が出始めることが多く、適切な治療を受けないと長引くことがあります。
  • 強迫観念の内容は「自分は悪い人間だ」ということを意味するものではありません。誰にでも一度は奇妙な考えが浮かびますが、強迫症の人はそれを重要視してしまいます。
  • 適切な治療で症状は改善します。多くの人が回復しています。

対処法と治療について

強迫症の治療には主に次のような方法があります:

  • 認知行動療法(特に曝露反応妨害法):少しずつ不安な状況に挑戦し、強迫行為をせずに不安と向き合う練習をします
  • 認知療法:強迫観念に関連する考え方のパターンを見直し、変えていきます
  • 薬物療法:症状が強い場合には、医師の判断で薬による治療を併用することもあります

当カウンセリングルームでは

認知行動療法を専門とする当カウンセリングルームでは、強迫症でお悩みの方に対して、科学的に効果が確認されている治療法をご提供しています。

カウンセリングでは:

  • あなたの強迫症状を詳しく理解し、一緒に対処計画を立てます
  • 強迫観念と強迫行為の関係性を理解し、「不安の仕組み」を学びます
  • 少しずつ、自分のペースで不安に立ち向かう練習をします
  • 家族や学校の先生との協力方法についても考えていきます
  • あなたの強みを活かしながら、症状と上手に付き合うスキルを身につけます

「これって強迫症かな?」と思ったら、一人で悩まずにぜひご相談ください。「変なことを言っているかも」と心配する必要はありません。強迫症は適切な治療で良くなる病気です。

最初の一歩を踏み出すのは難しいかもしれませんが、その勇気が回復への大切な第一歩になります。あなたらしい日常を取り戻すお手伝いをさせてください。